確か、ロス・プリモスの店

銀座の高級クラブに、接待で同行した時の事です。

例の石垣島旅行の会社の社長の、私がやられた試練の話です。

東京支店でトップセールスをやっていた私は、一代で築き上げ、やはりトップセールスで会社をここまでにしてきたこの社長、やたらと人に試練を与えるのが好きなようで・・・。

石垣島旅行に関しても、普通の営業マンなら、十人分の給料を稼げという命題は当たり前の中、私は一人の年収が600万円だとして、四十人分の給料分は、売上高では無く、利益額で叩き出してたので、正直貢献した結果であるとも思ってました。

その前年だったか、前々年だったか記憶にありませんが、まだ、東京支店に居た時の話です。

何故か私を、社長の大切なお客様の接待に同行するという、大役を務める事になった訳です。

正直、どんな客で、どのような立場の方たちなのかも、全く知りませんでした。

食事会を済ませ、常連であるところの銀座の高級クラブにお連れし、普通は行かなくてもいいのに、私も同行することになった訳です。

確か記憶では、ロス・プリモスのお店だったと思います。

勿論、一見さんお断りの高級クラブですから、私のようなモノが行く所ではありません。

おい、一曲歌ってこいとの命令に、私は素直に従い、普通の方たちなら、先ず本人たち眼の前にして歌わない、ラブユー東京を、本人たちのコーラスの中で歌いました。

お客様も喜んでいただけたと思いましたが、お前いい度胸してるなと、結局、この店の支払いを託されました。

私は迷うことなく、ママさんに、私のクレジットカードでは、ここのお支払いはできかねます。

名刺を置いてきますので、請求書を、送っていただいて、後日のお支払いで宜しいでしょうかと尋ねました。

通常であれば、私の限度額は20万円でしたから、お客様含めて5人分、カード出してたら恥をかくところでした。

ママさんは、にこやかに受け入れてくれ、無事店を出る事が出来たし、社長たちは何処かに行ってしまいました。

やられたなとは思いましたが、常連だし、分かっててやった事だと思いました。

まあ、たかが試練との思いと、会社の経費だとの思いから、あまり気に掛けませんでした。

後日、東京支店にその請求書が送られてきて、大騒ぎになりましたが、その金額はやはり凄い額でした。

理由を説明し、即座に社長に確認し、支払いを経理で処理したのでした。

この男、ホントに人を試すよなぁ、と今となっては、とてもいい思い出です。